突然ですが、数年前の病院代の請求書が届いて、頭が真っ白になった経験はありませんか?
実は先日、知人がまさにその状況に陥りました。7年前に入院したときの医療費、27万円の請求が、弁護士事務所から届いたんです。本人は完全にパニック状態。「どうしよう、こんな金額、今すぐには払えない…」と。
でも、この話には意外な結末があります。
調べてみたところ、医療費には「時効」という制度があって、一定の条件を満たせば支払わなくてよくなる可能性があることが分かったんです。そして実際に、知人はこの制度を使って、27万円の支払いを免れることができました。
もしあなたも今、同じような状況で悩んでいるなら、この記事が少しでも助けになるかもしれません。私が調べた情報と、知人が実際にどう対処したかを、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。
医療費にも「時効」がある。これ、本当の話です。
「時効」と聞くと、刑事ドラマの話みたいに感じるかもしれませんが、実は民事の世界でも普通に存在する制度です。簡単に言うと、「長期間請求されなかった権利は、やがて消滅する」というルール。
医療費の場合、病院があなたに治療費を請求する権利が、ある一定期間を過ぎると消滅する可能性があるということです。
時効期間は「3年」か「5年」
では、その期間は具体的に何年なのか。これは治療を受けた時期によって変わります。
| 治療を受けた時期 | 時効期間 |
|---|---|
| 2020年3月31日以前 | 3年 |
| 2020年4月1日以降 | 5年 |
2020年4月に民法が改正されて、時効のルールが変わったんですね。もしあなたの未払い医療費が2020年3月以前のものなら、3年で時効を迎えている可能性があります。
知人のケースは7年前の医療費だったので、3年の時効期間をとっくに過ぎていたわけです。
ただし、待っているだけでは時効にならない
「じゃあ、5年経ってるから大丈夫だ!」と思った方、ちょっと待ってください。
ここが最も重要なポイントなんですが、時効は自動的には成立しません。 あなた自身が「時効なので、もう支払う義務はありません」と、相手に対してはっきりと意思表示をする必要があるんです。
この意思表示のことを「時効の援用(えんよう)」と言います。この手続きをしない限り、たとえ10年、20年経っていても、法律上の支払い義務は残り続けます。
絶対にやってはいけないこと
請求書が届いて焦る気持ちは分かります。でも、以下のような行動をとってしまうと、せっかくの時効が「更新(リセット)」されて、またゼロからカウントが始まってしまいます。
一部でも支払ってしまう
「とりあえず誠意を見せないと…」と思って、たとえ少額でも支払ってしまうと、それは「自分に支払い義務がある」と認めたことになります。これで時効はリセットされてしまいます。
支払いの約束をしてしまう
電話で「分割でなら払えます」とか「少し待ってください」といった発言も危険です。これも債務の承認とみなされ、時効が使えなくなる可能性があります。
だから、請求書が届いても、慌てて相手に連絡しないこと。 相手は債権回収のプロなので、言葉巧みに支払いの約束を取り付けようとしてきます。
知人が実際にやったこと
知人も最初はパニックになっていましたが、落ち着いて専門家(司法書士)に相談しました。そこで教えてもらったのが「時効援用通知書」を送るという方法です。
具体的には、「時効なので支払いません」という内容の通知書を、内容証明郵便で相手に送ります。内容証明郵便というのは、「いつ、誰が、どんな内容の手紙を送ったか」を郵便局が証明してくれるもの。後から「そんな手紙は届いていない」と言われるのを防げるわけです。
知人が支払った費用は、司法書士への報酬で約3万円。27万円の請求が3万円で解決したことになります。
その後、弁護士事務所からの請求は完全に止まりました。
よくある不安について
「時効を使うなんて、後ろめたい…」
「ブラックリストに載るんじゃないか…」
そんな不安を感じる方もいるかもしれません。
まず、時効の援用は法律で認められた正当な権利です。うしろめたさを感じる必要はありません。
そして、医療費の未払いは、消費者金融などの借金とは違うので、信用情報(いわゆるブラックリスト)には影響しません。 これは意外と知られていない事実です。
ただし、時効援用をした病院で再び治療を受けるのは、気まずい思いをする可能性があります。でも、他の病院での治療には全く影響ありません。
最後に
昔の医療費の請求は、本当に心臓に悪いものです。一人で抱え込んでいると、不安ばかりが大きくなってしまいますよね。
でも、解決策は必ずあります。
もしこの記事を読んで「自分のケースも時効かもしれない」と思ったら、まずは専門家に相談してみてください。多くの弁護士や司法書士が、無料で相談に乗ってくれます。
一番良くないのは、パニックになって、相手の言いなりになってしまうこと。冷静に、正しい知識を持って対処すれば、道は開けます。
あなたの不安が、少しでも軽くなることを願っています。